犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「酔っぱらった。坊主!針は厄介だが、やみくもに攻撃している。あんなもん、俺たち冒険者にはへでもねぇ」
 ルクマールさんが私の頭をぐりぐりとなでて、今度は両手に酒樽を担ぎました。
「待って、ルクマールさん、お酒はそれだけしか……」
 ナイトヘッドドラゴンの首は9つ。
「おい、酒だ!あいつは酒に弱い。見ろ、酒を集めてくれっ!街からも酒をすぐに運んでくれ!」
 ルクマールさんがギルド職員に声をかけました。ギルド職員さんは、ちらりとルクマールさんの隣にいる私を見て、ちょっとだけ頭を下げます。
 私の話をまともに聞かなくて悪かったと思ったのでしょうか。いえ、私も確証がなくて話しませんでしたし、大丈夫ですよ。と、頭を下げ返しました。
「酒を持ち込んでいる者は、ギルド出張所へと持ってきてくれ、大至急。ナイトヘッドドラゴン討伐に必要だ。街へと退避する者は、街で酒を集めるように指示してくれ」
 と、まるで拡声器でも使ったように声が広がりました。何かの特殊能力でしょうか。便利です。
 すぐに何人かの冒険者が酒を持ってきます。
「これだけしかないが使ってくれ!」
「俺たちのもんじゃないが、逃げてった奴が置いて行ったもんだ」
 と、次々に酒が集められます。ですが、その量は十分とは言えません。さすがに酒樽で持ち込んでいる人は他にはいないみたいで。
 街から運ばれてくるのを待つ必要があるでしょうか。
 と、心配そうに見ていると、ルクマールさんがにっと笑いました。
「いくつかの頭が酔いつぶれるだけで、俺たちは助かるよ。少しずつ休憩が取れる。みんな休む暇もないからな」
 街まで30分ほどの距離です。馬とか何か移動手段さえあれば、酒を運んでくるのに15分かからないかもしれません。
「それ、俺たち人間様のおごりだ!たんまり飲みやがれ!」
 ルクマールさんが別の首に向けて酒樽を投げます。
 1つ目の首と同じようにしばらく暴れるような動きをしたあと、ふわふわとした酔っ払いのような動きになりました。
「そりゃ、もう一つ!」
「少し離れる」
 その様子を見てバーヌがこちらへ来ました。
 3つの首の戦闘能力が落ちた。冒険者チームの一つも、小休憩するために周りに声をかけて離脱しました。