犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 ルクマールさんの服装は血まみれだけど、傷は効果大のポーションでしっかりふさがっている。失った血もフライと効果微小ポーションで回復済。
「体調は大丈夫ですか?」
「あ?」
 もしかしたら、ルクマールさんなら。
 その、筋肉が飾り物でないのでしたら……。
「ルクマールさんは、力持ちですか?」
「ああ、当然な。力比べならバーヌにも負けねぇぞ」
 酒樽を指さします。
「あれ、持ち上げることはできますか?」
 ルクマールさんが酒樽を見ました。
「ああ、当然な。片手で楽勝だ。両手に1個ずつ持てるぞ」
 やった!それなら!
「投げることはできますか?」
「は?投げる?」
 ルクマールさんがはっと何かに気が付いた顔をしました。
「酒か、火でもつけて攻撃しようってのか?火魔法の火力を少しはあげられるか……そういうことか、坊主」
 ルクマールさんに首を横に振ります。
「確証はありませんが、ナインヘッドドラゴンは、酒に弱いかもしれません……。顔に向かって酒樽をぶつけて酒を飲ませることは、できますか?1回試しにやってみてもらっても……」
 ルクマールさんはすぐに酒樽を1個担いだ。
「ま、駄目なら顔に向かって火魔法。なんでもやれることはやってみるさ、見てな、坊主!」
 と、ルクマールさんが酒樽を担いだままナイトヘッドドラゴンの方へかけていきます。
 すぐに、ルクマールさんの姿をとらえた首が、襲い掛かろうと口を開きました。そこにめがけて、ルクマールさんが酒樽を投擲。
 30m以上距離があったというのに、酒樽は見事に開いたナイトヘッドドラゴンの口にぶち当たり、砕け、酒をまき散らしました。
 何かをぶつけられたことに怒ったのか、ナイトヘッドドラゴンの首が激しく上下に振られ、どこに狙いを定めるともなく、口から針を何度か吐きました。
「あぶねぇ!よけろ!」
 ルクマールさんの声に、冒険者さんたちが針の回避行動をとります。
 まずいです。
 私のせいです。
 逆に怒らせて針をあれだけ飛ばされてしまいました。どうしましょう……。
 と、思っていたら、首が突然ふにゃりと柔らかく地面に頭を下ろしました。
 え?
 唖然として遠巻きに見ていたルクマールさんが近づきます。
 すると首はむくりと上がり、また、針を吐き出しました。明後日の方向へ。
 すぐにルクマールさんが私の元に戻ってきました。