犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 冒険者たちが必死に足止めしようとしています。注意を引き付け、森へと誘導しようとしていますが、9つも首があるため、すべての首を同じ方向に向けさせることは大変なようです。逃げ惑う冒険者を気にしてこちらに向く首がいくつかあります。
 ギルドには、職員ではない冒険者さんが留守番をしています。
「あの、フィーネさんに頼まれて、お酒を……誰かから没収したお酒があると聞きました」
 嘘も方便。ごめんなさい、だまして。
「分かった。ちょっと待ってな。探してくる!」
 買い取った品が入れてあるであろうテントの中に冒険者さんの一人が入っていきました。
 えっと、酒が見つかったとして、それからどうしたらいいのでしょう。
 ここからナインヘッドドラゴンまでの距離は数百メートル。酒をドラゴンの近くまで持っていくにはどうしたら……。
「坊主、どれだけいるんだ?」
 すぐに一升瓶くらいの大きさの瓶を2,3本抱えて冒険者さんが出てきました。
「あれば、あるだけ」
 一升瓶なんてドラゴンの大きさからみれば、小指の先くらいの大きさしかありません。こんな少しで効果があるのでしょうか。
「そうか、じゃぁ、持ってくるけど、運べるか?まったく、どんだけ飲むつもりだったのか……」
 と、もう一度テントの中に入った冒険者さんが、お風呂になりそうなくらい大きな樽を他の人に手伝ってもらって運んできました。
 た、樽……。
 それが、2つ、3つ……。
 これだけの量があるなら!でも、私には運べない、どうしよう。
 樽とドラゴンとの距離を測る。倒して転がしていけばなんとか?
「運ぼうか?」
 冒険者さんの申し出はありがたいです。でも、本当に効果があるかどうか分からないのに……。
 一番危険なナインドラゴンヘッドのところへ運んでほしいとは……。
「もう一回、増血!」
 ぽたぽたと血をたらしながらルクマールさんが来た。
 額、腕、足と、何か所も血の跡が残っている。
「アレは厄介だ。針を測れると、急所に飛んできたものは剣で払えるが……ったく。全部回避しちまうバーヌの運動神経どうなってんだろうな。くそっ」
 と、悪態をつきながらフライとポーションを口にしている。
「ルクマールさんっ!」
「おう、坊主、まだこんなとこいるのか。すまん、俺たちの力不足で、ダンジョン内で押さえきれなかった。できるだけ遠くへ逃げろ」