犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 僕は、ご主人様の奴隷でい続けたい。
 ずっと、ずっと、ご主人様と奴隷という関係でつながっていたい。

 それなのに……。
 僕を解放すると。僕を自由にしてあげると。
 嫌だ。
 僕は解放されたくない。
 自由をくれるというのなら、あなたの奴隷でい続ける自由を、僕に与えてください。

◆6
 乗合馬車に乗り込むみます。
 ホロ付きの馬車じゃないですよ。
 枯草とか山と積んで運ぶイメージの荷馬車?そこに、人や荷物ごちゃごちゃで載せられています。
 次の街まで馬車で2時間ほど。
 歩けば半日ちょっとで着くらしいんですけど、モンスターが出て危険なため腕っぷしが強い人間じゃないかぎり徒歩移動はしません。
 街と街の移動は、冒険者ギルドで冒険者を護衛としてやとうか、こうして護衛付きの乗合馬車を利用するのが普通だそうです(WEB調べ)。
「坊主は一人か?」
 馬車には護衛の男が2人、商人の男が2人、商人の手伝いの少年が1人と、女性が1人乗っていました。
「おじさんは、商売ですか?」
 商人の一人に話しかけられ、にこやかに答えます。
 この世界の情報はどれだけあっても邪魔になることはありません。おしゃべりができるチャンスがあるならば、積極的におしゃべりするのが私流です。
 うん、接客業だったから、お手の物ですよ。
 鑑定魔法の検索で何でも調べられそうに思いますが、目の前にある物しか鑑定できないのです。
 そして、鑑定結果に出た検索窓からしか検索はできません。
 ですから、妹がどこにいるのか、妹の名前を検索窓に入れて探すなんて便利な使い方はできないのです。
「ああ、そうだ。どうも、隣の町の近くにあるダンジョンでお宝祭りが始まってるらしい」
「お宝祭り?」
 ダンジョンなんて行く気がないからさっぱり分からないです。
「そう。モンスターを倒すと宝箱が出ることが稀にある。稀なはずなんだが、ある時期倒せば倒すほど宝箱が出ることがあるんだ。それがお宝祭り。冒険者たちがこぞってダンジョンに潜るってわけだよ」
 へー。
 そりゃ、行きますよね。ハズレくじなしのくじ引きみたいなものってことですよね?
 ん?あれ?ルクマールさんって冒険者でしたよね?もしかして、あの”またな”って、行先が一緒っていう意味だったのでしょうか?
 でもまぁ、私はダンジョンにはいきませんし、もう会うことはないですよね。