犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 上級鑑定士?
「ありがとう、念のため上級鑑定士の派遣も依頼しておくわ」
 フィーネさんが戻ろうとしたところで、ドゴーンと、地響きとともに、人々の叫び声が聞こえてきました。
「逃げるな、皆で狙え!」
「大丈夫だ、全員で押さえこむんだ!」
 ダンジョンの入り口で何かが起きているようです。
 はっと見上げるほど大きな尾が、持ち上がり、ドシーンと地面を冒険者をつぶすようにたたきつけられた。
「ついに、ダンジョンの外に被害が……」
「見ろ、もう一つ尾がっ!」
 まるでティラノサウルスかなにか、よくわからないけれど、恐竜ののようなものが、怒りにかませて冒険者たちを攻撃している。それが2本。
 ルクマールさんはなんて言っていました?
 9つの頭のあるドラゴンで……分かれてそれぞれの頭と対峙……してるんじゃなかったですか?
 尾も9つあるんですね……そして、尾だけを相手する人はいないと……。
 もしかして、怪我をして運ばれてきていた冒険者さんたちは、あの尾にやられたのかもしれません。ところどころ鋭い角のようなキバのようなものが飛び出しています。
 ああっ。
 今も、ダンジョンの外で尾に向かっていった冒険者さんがその突起で傷を負いました。血が噴き出しています。
 思わず両目をつむって震える。
「配慮が足りなかったは、ユーキ、しばらくはこれで持つと思うから、街へ避難しなさい。ジョジョリを護衛につけます。作り方を教えながら移動してもらえる?」
 ぽんっと震えている私の肩をフィーネさんが叩いきました。
 嫌。
 嫌。
「怖いでしょう、ごめんなさい」
 怖い。
 怖い。
 だけれど、怖いのはドラゴンの尻尾じゃないです。
 怖いのは、ドラゴンと戦っているバーヌが傷つくことなんです。
 いいえ、バーヌだけじゃない。
 今戦っている人たちが、目の前で命を落とすことを想像すると、怖くて、怖くて……。
「フィーネさん、怖いです。誰も死なないですか?誰かが死んじゃうんじゃないかと思うと、怖くて……」
 フィーネさんが私の頭を撫でました。
 そして、ちょっとだけ困った顔をします。
「ごめんなさい……。犠牲者が出ないようにギルドとしてもできる限りのことをするけれど……」
 フィーネさんが4本に増えた尾を見て口元を引き締めます。
 ああ、そうなんです。
 私だけじゃないのです。