犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 フライの乗ったサラをバーヌから受け取り、フィーネさんの後を追う。怪我人が集められている場所。フィーネさんは迷うことなく、冒険者の顔を見て血が足りなそうな一人の男の前に歩み寄ります。
「怪我は?」
「ああ、ポーションでふさがった。少し休んだら行くよ。A級の俺たちがこんなに抜けたままじゃ、ダンジョンから外に出てきちまうからな……それは防がないと」
「これを食べて、それからポーションを飲んで」
 フィーネさんがフライトポーションを手渡すと、何の躊躇もなくA級冒険者さんはフライを食べ、ポーションを飲みました。
「ん?頭の靄がかったのと、目の前のちかちかしたもんがなくなっちまったぞ?」
 貧血の症状が緩和されたようです。
「行けそう?」
 フィーネさんの言葉に男が頷いた。
「ああ、もちろん。元気が出たぜ。行ってくる」
 フィーネさんが私の顔を見ます。
「助かったわ……。ポーションでけがは治せても失った血まではどうしようもなくて、命は助けられるけれど、戦力が落ちていけば、応援を待たずして全滅なんてことにもなりかねないところだった……まだ、ある?」
 フィーネさんがフライに視線を落とします。
「はい。持ってきます」
「血の足りない者は、これを食べて、必ず一緒にこのポーションも飲むこと。あなた、微小のポーションをこちらへ運んできて」
 フィーネさんは相変わらずてきぱきと指示を飛ばしている。
「急ごう、バーヌ」
 バーヌと一緒にレバーフライを取りに行こうとしたら、フィーネさんがバーヌの腕をつかんだ。
「あなたの仕事は、ダンジョンへ行くことよ」
 フィーネさんがバーヌの顔を睨みあげました。
「!」
 バーヌが言葉を失って、フィーネさんの顔を見返しています。
 何も言わないバーヌの前に出て、フィーネさんの前に立ちます。
「それは、バーヌが奴隷だから、冒険者のために命を張れということですか?」
 フィーネさんが首を横に振った。
「いいえ、違う。彼……バーヌには人々を守れる力がある。だから、お願いしているの」
 バーヌに、人々を守れる力が?