犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 忙しく働くギルドの職員に声をかけるのは勇気がいります。確実ではなく可能性があると言うだけで……もし、違えば、時間を無駄にさせてしまうのです。ですけれど、効果があるのであれば、役に立つはずなので、声を張り上げます。
「フィーネさんっ!話があります、えっと、このA級冒険者さんの、話を聞いてくださいっ!大事な話ですっ!」
「は?おい、坊主、俺は、話なんてないぞ?それよりも一刻も早くダンジョンに……」
 冒険者さんが驚いて私の顔を見ました。
「ガラドゥーナさん、話とは?」
 フィーネさんがA級冒険者からというところで緊急性を感じたのかすぐに来てくれた。
「あ、いや、俺は」
「ポーションで怪我は治ったんだけれど、血を失いすぎて足元もおぼつかないくらいふらふらだったんです!」
 私の言葉にフィーネさんが眉尻を下げた。
「……ガラドゥーナさん、それは本当ですか?もし、戦闘に支障をきたすような状況であれば、いくら強制依頼とはいえ、休んでください。無理をして大切な冒険者を失うのはギルドとしても損失ですから」
 はい。そうですよね。無理して命を落とすのは駄目です。よかった。ギルドは冒険者を「奴隷」のように扱うことはないんですね。
 って、違います。今はそんなことじゃなくて。
「いや、大丈夫だ。違うな、本当は大丈夫じゃなかったな……。無理して逆に他の奴らに迷惑をかけたかもしれない。だが、今は本当に大丈夫だ。坊主にもらった食べ物とポーションですっかり元気になった」
 はい。言葉をいただきました。これで、フィーネさんは私の話も聞いてくれるでしょう。
「ガラドゥーナさん、ありがとうございました。今の話をフィーネさんにしていただけば、ボクは満足ですので、ダンジョンに向かってください。フィーネさん、続きはボクの話を聞いてください」
 フィーネさんはすぐに頷いて私の正面で姿勢を正しました。
「フィーネさんに試食してもらったフライと、そこに積まれている微小の効果しかないポーションの組み合わせで、薬草を調合して効果を高めるのと同じような作用がある可能性があります。貧血状態の人に試してみてください」
 私の言葉が言い終わるか言い終わらないうちに、すぐにフィーネさんは微小効果のポーションを4,5本ひっつかんで駆け出した。
「来て!君、名前は?」
「ユーキです」