犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 私やダタズさんはわけが分からなかったけれど、とにかく飛んでもないことが起きていて、ここから逃げたほうがいいって言うことは分かった。
 だけれど、せっかく作った料理が駄目になるのを見るの……。
 ぎゅっと両目をつむってから開く。
 何度も災害を経験した日本人だ。何か災害が起きた時に何がどう必要なのか分かっている。その一つが食事だ。無駄にするくらいなら。
「ダタズさん奥さんを連れて急いで逃げてください。それから、これらの食料はギルドに寄付しても構いませんか?商売どころではありませんが、せっかく作った物ですし、無駄にしたくはないです。必要としている人がいればその人たちに渡してもらおうと思います」
「ああ、そうだな。このまま捨てていくと料理が泣く、だが、ユーキが先に逃げなさい」
 首を横に振る。
「奥さんはまだ病み上がりだから、途中で何かあってもボクでは支えられないから、ダタズさん行ってください。出張買取所の見知った人に料理のこと伝えたらすぐにボクもバーヌと行きます」
 ダタズさんが申し訳なさそうな顔を見せてから頷いた。
「分かった。すまない」
「いいえ、ボクがここに連れて来てしまったからこんなことに……」
「何を言っているの?ユーキのおかげで私は今こうしていられるのよ?それに、ギルドで私たちの店の料理の宣伝をしてもらえるようなものでしょう?そう考えればラッキーじゃない?」
 ふっ。
「はい、そうですね。ありがとうございます!」
 奥さんの言葉に元気をもらう。
 ダタズさんと奥さんが屋台を離れる。
「バーヌ、できるだけすぐに食べられる状態にしておいた方がいいと思う。肉を急いで焼いて。フライもあげて置いて。ちょっと出張買取所へ行ってくる」
「分かりました。気を付けて」
 出張買取所……改め「ギルド出張所」はてんやわんやしていた。
「ほかに情報はないの?S級モンスターってどんなもの?」
「幸い、お宝祭りだったから冒険者が集まっているから、モンスターがダンジョンを出て街へ行くことは防げるでしょう」
「怪我人が運ばれてきました。A級2人、B級4名」
「A級2人?どういうこと?進行を止めるだけであれば、何名もA級冒険者がいれば怪我人が出るようなこと……」
「今、S級冒険者ルクマールがダンジョンへ行きました」
「運がいい。大丈夫。S級冒険者がいたんだから……」