犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「いえ、あの……」
「なぁ、店出すのに許可って必要か?こいつら、ここは俺らの場所だからとか言ってたが?」
「いいえ。許可は必要ありません。問題があるような店であれば出て行ってもらうようには言いますが、美味しい食事を出す店だと調査済みなので何も問題ありません……むしろ、問題なのは……」
 フィーネさんが男たちを見た。
「ひぃー、すいません、その、あの、俺たち、ずっとこのあたりで野営してたんで、なんか場所を取られたような気持ちになって……」
「わ、悪気は、悪気はなかったんです」
 男たちが後ずさる。
 ルクマールさん、ぽんっと手を打った。
「そうそう、勘違いしてるみたいだけど、ここは俺の店じゃないから、あっち見てみな」
 ルクマールさんに指さされた方向を3人が同時に見る。
 ダタズさんと奥さんとバーヌが下ごしらえをしている。バーヌがこちらを睨んでいる。
「金の……」
 一人が腰を抜かした。
 他の2人がガタガタと震えだす。
「も、申し訳ありませんでしたーっ!」
 2人が腰を抜かした人の両脇を抱えて、逃げていった。
 うん、過剰反応なのか、普通なのか。
 もしかして、ルクマールさんって、ちょっと権威のある人?
 それとも、ギルドが絶対なのかな。
「助けていただいてありがとうございました。えっと、ちょうど今からお店を」
 開店するのでと言おうとしたら、ピィープゥーピピピ、ピィープゥーピピピ、と独特のリズムで笛の音が鳴り響いた。
「何?何が起きたの?」
「強制クエストか……。笛2つってことは、緊急制も危険性も高いやつだな……ったく、しゃーねぇ」
 フィーネさんとルクマールさんが駆け出した。
「危険が迫っているかもしれない。すぐに逃げ出せる準備を」
 バーヌが心配そうにダンジョンの方向を見て、それから私たちを気遣うように荷物をまとめ出した。鍋や仕込んだ食材はそのままだ。
「ダンジョンの入り口付近にS級モンスター出現。S級A級B級冒険者は討伐へ。C級D級は万が一に備えてダンジョン入り口に待機。E級F級は怪我人の手当てに回れ。俊足もちの冒険者は街のギルドへ連絡ののち、不足するであろうポーションの運搬を頼む」
 拡声器でも使ったような大きな声が響いてきた。
「S級モンスター……何が現れたんだ?」
 バーヌが茫然としている。