犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 奥さん、どうかなぁ。検索情報だと、食べて飲んで割とすぐに効果が現れてたよね?
 屋台を出す場所に近づくと、鍋を見ていたバーヌが突然振り返って私を見た。
 ん?なんか、怒ってる?
「遅かったですね?」
 バーヌが低い声を出しました。ええ?
 そんなに遅かったかな?
「また、いやなにおい……」
 バーヌが顔をしかめました。
 ええ?いやなにおい?レバーの匂い苦手な人がいるとかそういうこと?うーんでも、さっき食べたときは平気だったよね?
 あれ?それとも、私、知らない間に何か変なものでも踏んづけてきたかな?

 鍋には形よく切られた野菜がどっさりと入って煮られている。
「シチューと言っていたし、味付けはダタズさんを待たないと無理でしょうが、先に柔らかくなるまで煮ておこうと思いまして」
 ふむふむ、そうだよね。日が暮れるか暮れないかっていう時間になったら夕飯の時間になるそうですし。シチューはじっくりに込んだほうがおいしいに決まっている!
「肉は、ずいぶん大きく切って入れてあるんだね?」
 2~3センチ角のイメージだったんだけど、とんかつくらいのサイズの肉が入っている。
 バーズが驚いた顔をした。
「え?そうですか?ああ、もしかしてユーキはまだ子供だから食べられる量が少ないからでしょうか?これくらい冒険者ならペロリですよ。肉だけお代わりする人もいますよ?」
 ん?
 もしかして、シチューってでっかい肉がどーんと中心に入った肉料理なのだろうか……。一人1枚肉、その周りに野菜シチュー……なるほど。異文化です。
「フライ、売れそうだから下ごしらえしてるね」
「おーい、おーいっ」
 ダタズさんの声が聞こえる。遠くに見えるダタズさんの隣には、少し痩せてはいるが自分の足で歩いている女性の姿があった。
 女性に何か話をしながら、こちらを指さしている。
「ありがとう、ありがとう!ユーキ、君のおかげで妻はこの通り」
 ああ、やっぱり奥さんなんだ。
「ありがとうございます。なんと感謝を伝えればよいのか……」
 深々とダタズさんと奥さんが頭を下げる。
「あの、お礼なら、モモシシを狩ってきてくれたバーヌや、ボクにレアポーションを売ってくれた出張販売所の人とか……えっと……」
 あまりの感激っぷりに、目が泳ぐ。
「バーヌさん?」
 奥さんがバーヌを見る。
「まぁ、奴隷……奴隷にお礼を言えと……」