犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 看板とメニューと……あ、文字が書けません。
「おう、坊主、やっぱりまた会ったな!」
 上から声が降ってきました。
 見上げるとそこには……。
「水む……えっと、ルクマールさん!」
 危ないです。思わず水虫と言ってしまいそうになりました。水虫に悩んでいた大きな体の筋肉イケメンのルクマールさんがいました。
 乗合馬車には乗っていなかったけど、そのあと歩いて移動したとしたらめちゃくちゃ早いですよね。
 ……私の胸くらいまで足です。ああ、コンパスの違い?それに体力もありそうですし。

「なぁ、お前は食ったか?なんでもめちゃくちゃうまい肉が売ってたって聞いたんだが」
 ん?もしかして……。
「ダタズの店だと言っていましたか?だとしたら食べましたよ。とてもおいしかったです」
 味を思い出す。
 焼き肉のたれに近い味。この世界では食べたのは初めてだったから珍しいんだと思う。本当においしかったですよ。シチューにもクルルの実を隠し味に使うといっていたので、あのたれにも果実系が何か隠し味で使ってあるのかもしれません。
「うわー、マジか。食べたかったな。くそ、もうちょっと早くついてればなぁ……っ」
 ルクマールさんが悔しそうに頭をぐしゃぐしゃと両手でかいた。
 ……そういえば、お母さんに料理はもう食べさせないといわれてショック受けてましたね。もしかして、食いしん坊?
「大丈夫ですよ。今、夕食タイムのための仕込みをしているところで、夜にはまた売りますから」
 ルクマールさんが興奮気味に私の両肩をつかんだ。
「マジか?本当か?その情報は……っと、お前、そういえばずいぶん情報ツウだったな。あー、坊主の名前は?まだ聞いてなかったよな?」
「ユーキです」
 ルクマールさんが私の頭をぽんっとなでた。
「ユーキか。いい名前だ。それで、お前は何しにダンジョンに来たんだ?冒険者ってわけじゃないよな?」
 ふふ。
 とてもいい人です。よほど水虫問題が解決したのがうれしいのでしょうか。でも、お金いっぱいもらいましたし、恩を感じなくてもいいんですけど。
「あの、ルクマールさんは文字書けますか?」
「ん?ああ、そりゃぁ、うまくはないが、冒険者だからな。一応依頼書を読んだり、依頼達成報告書を書いたりするときに必要な文字は覚えてるぞ?」
 子供だと思われていることを利用して、脈絡なくどんどん話をしていきます。