犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「この味はダタズの店でしか食べられません。街に来た時にはよろしくお願いします」
 すでに食べ終わった人から、うまかったよと、今まで食べた中で一番だと、誉め言葉をいくつかいただいた。中には明日も来るのか?どこで食べられる?という質問をする人もいたので、宣伝することにした。
「ありがとうございました!」
 ぺこりと最後にお辞儀。
「お、おおう、いや、こちらこそありがとう」
 びっくりした顔をしてお客さんが去っていった。
 ん?何かおかしな接客をしたのかな?
「坊主は、どっか大きな商店で貴族相手に仕事してたのか?」
 次のお客さんに尋ねられた。
「いいえ、貴族様にはお会いしたことはありません」
 ……貴族。
 やっぱりいるよね、どっかには。なんか、怖いイメージしかないです。
 奴隷もいる世界の貴族様だよ?無礼を働いたらすぐに首を切られそうです。絶対近づきたくありません……。
「そうか。計算もよくできるし、それにそうして丁寧な言葉で最後に頭まで下げられると……なんか、冒険者なんてしてる俺らもちょっと貴族にでもなったようなこそぐったい気持ちになるな」
 え、そうなんだ。いや、普通の接客ですけどね。……お客様は貴族どころか神様な世界では……。日本のおもてなしクオリティがまさか異世界でも特殊だとは。

「追加分です。また行ってきます」
 バーヌがあっという間に2匹捕まえて持ってきた。
「ほかの肉でも調理できますか?」
 バーヌの質問に、ダタズさんが頷いた。
「では、ちょっと大物狙ってきます。そのほうが早そうだ」
 大物?
「バーヌ、無理して怪我しちゃだめだからね!」
 熊とか猪とか強暴そうな獣を想像してバーヌに声をかける。
 振り返ったバーヌの尻尾は大きく揺れて、嬉しそうな笑顔を見せて森へと走っていった。
 うっ。なんてかわいい尻尾だ!
「金狼……」
 勤労ですね。そのとおりです。奴隷に仕事頼んでます……。命令じゃなくて、勤労感謝です。
 大丈夫、ただの仕事の範囲。……だよね?しっぽがかわいいからってセクハラもしてません。あ、セクハラじゃなくて、もふハラ?
 ああ、でも危険な動物に向かっていくなら、それはやらせすぎで……やっぱり止めたほうがよかったかな……。
「おい、さっきの、金狼じゃなかったか?」
「は?なんでこんな初級ダンジョンにいるんだよ。見間違いだろ?」