犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 この世界に突然放り出されて、一人っきりで、どうしていいか分からなくて、怖くて辛くて、もう死んだほうがいいみたいに思ったこともりました。
 けど。
 望結がいます。
 この世界に望結が。
 だから、私は生きなくちゃいけないのです。
 あ、今はバーヌもいる。
「あの、いったいどういうことで……」
 店に入ると、困惑したダタズざんがいました。
 それでも、私がお願いしたようにパンや包丁などいろいろ準備をしてくれています。
 焼くなら火も必要だろうと、薪や串、気がつけば荷物の量はかなり多くなっています。
「じゃぁ、行こうか。こっちだよ」
「え?あれ?お二人も、何か忘れ物でも?」
 2組の冒険者が荷物を持つ。
「これが特製のたれですね」
 壺の蓋を取って中をのぞく。
 ぷぅーんと鼻に飛び込んできた匂いは、まさに焼肉のたれでした。
 絶対、これ、美味しいやつですね!
「早く行きましょう!」
 壺にしっかり蓋をして、両手で抱えます。
「ダタズさん、早く食べたいので、料理お願いしますね!あ、お店にはクローズの看板とカギを忘れずに。行きましょう!」
 2人組の冒険者には事情を説明しましたが、バーヌとダタズさんには話していません。バーヌはお得意の(?)忠誠心なのか、私のすることを信用しきっているのか何も尋ねてきません。
 ダタズさんは、子供に見える私が、お腹が空いて早く食べたいと言っているのに逆らえないのか……言われるままに店を閉めてついてきました。いいひとすぎます。
 20分ほど歩くと、ざわざわと騒がしくなってきた。街よりもたくさんの人が集まって活気がありそうです。
「ああ、ダタズ、とうとう店、つぶれちまったのか?それで冒険者になろうと?」
 すれ違う冒険者がダタズさんに声をかけてきた。

「お前らがパーティーメンバーか?」
 冒険者が私とバーヌを品定めするように上から下まで見た。
「違いますよ!今から出張ダタズの焼肉屋さんをするんです!ぜひ買いに来てくださいね!」
「は?出張?焼肉屋?」
 冒険者が首を傾げている。
 あ、ダタズさんも首を傾げた。
「おーい、このあたりに場所が取れそうだよ、机は無理だが、いくつか丸太を並べてみた」
 少し先に行っていた2人組の冒険者の一人が手を振っています。