犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「じゃぁ、その二つとありったけのパンを持って、料理するためについてきてください」
 ダタズさんがびっくりして動きを止めました。
「料理なら、ここでできるよ?」
「バーヌ、荷物運ぶの手伝ってあげて、荷物の準備よろしく」
 それだけ告げて、店の外に飛び出します。
 きょろきょろと見回すと、通りが終わるかって先に、さっきのお客さんの姿が見えました。
「待ってー!待ってー!」
 全力疾走。
 ……って、遅っ。私の全力疾走遅い。本当の子供ならもっと動けるんでしょうが、私28歳ですもんねぇ。普段運動してない28歳の脚力なんて知れています。息も上がりそう。でも、えーっと、はーはー、何とか、冒険者に追いつきました。
「おや、ダタズの店にいた坊主じゃないか。どうした?」
「はーはー、はー、はー……」
「何かあったのか?大丈夫か?」

 うん、やっぱりこの人たちもいい人です。鑑定なんてしなくたって分かります。ダタズさんの奥さんを気遣ってダタズさんに声をかけていましたし。それに食べ方もきれいでした。
「あの、実は……」
 思いついたことを話してみまする。
「へー、それは面白そうだね。いいと思うよ、手伝うよ」
 と、2人組の冒険者は、私と一緒に店に戻ります。
 ……いい人すぎですね。
「あの、せっかくのお宝祭りなのに、いいんですか?」
 歩きながら二人に尋ねます。
「あー、そうだな。だけどな、冒険者を長いことやってると、毎日無事な姿を喜んでくれる人ってのは、貴重なんだよ」
「毎日、店に顔を出すと本当にうれしそうな顔をしてくれるんだ。いろいろ事情があって、一月近く顔を見せなかった後なんて、泣いて無事を喜んでくれたことがあったなぁ」
 2人は40代でしょうか。冒険者の中でもかなりのベテランと呼べる年齢でしょう。
「恩人だよ。冒険者なんて、途中で何が目的か、優先順位が何なのか分からなくて無茶する者が多い。お宝、金、名誉……」
「俺たちも、無謀なことしたこともあったが、ダタズのおかげで、命以上に大切な物はないって思うことができた。俺たちが生きていることを喜んでくれる、死んだら悲しむ人がいると、それだけで、優先順位を間違えずにやってこれたんだ」
 そうなんですね。そっか……。うん。
 分かります。
 自分のために生きるのって時に辛いことありますもん。