犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 お客さんが剣を手に出ていく。
「お気をつけて。命より大切な宝はありませんから」
「おう、ありがとうな!」
 命?

「あの方たちはダンジョンへ向かうんですか?この時間から?」
 バーヌがダタズさんに尋ねます。
「いえいえ、日が昇るとともにダンジョンに潜っているんですよ。昼ご飯を食べに戻ってきたんですよ」
「わざわざ昼食のために?パンや干し肉は持って行ってないんですか?」
 バーヌが驚いています。
 そういえば、バーヌって元冒険者だって言ってましたから、ダンジョンのこととかも詳しいのでしょうか?
「まぁ、歩いて30分もかからない場所にあるからね。普段は干し肉やパンなど携帯食を持って出かける者も、今はお宝祭りで人が溢れかえっている。騒がしいのが苦手な人間は休憩がてら街に来ることもあるし、そもそも携帯食の需要が高く品薄だったり価格が高騰したりしているらしい」
 お店の人が教えてくれました。
 お宝祭りかぁ。
 祭りっていって真っ先に思い浮かぶのは、夏祭りや桜まつり。たくさんの屋台が境内を飾る。
 小さなころは妹と二人、おそろいの浴衣を着て出かけたりしましたねぇ。
 ……ん?
「お宝祭りで、人がたくさん?えーっと、ダンジョンって、冒険者以外が近づくこともできる?」
「ユーキ、見てみたいんですか?ダンジョンに入らなければ大丈夫ですよ」
 そうか。歩いて30分もかからない……。
「ダタズさん、えーっとダタズさんなら、このヌルクをどうやって調理しますか?」
「うん?新鮮なら臭みもほとんどないからな。薄く切って火で軽くあぶって、うち特製のたれをかけて食べるのが一番うまいだろう」
 焼肉みたいなもの?
「パンにはさんで食べてもうまいよ」
 グルキューっとお腹が鳴りました。
「ああ、えーっと、買取はできないけど、何か食べていくかい?お金がないのなら、ククルの実2つでスープとパンと交換でどうだい?」
 お腹の音に、ダタズさんが笑顔を見せました。
 なんか、すごいいいひと。お客が減って、奥さんが病気で、お金が必要でしょうに……。
「肉、食べたいです。ヌルクの肉を、その自慢のたれで……」
「え?」
 ダタズさんが驚いた顔をしている。子供のわがままに映ったでしょうか。
「お金は払いますので、えーっと、必要なのは包丁とたれだけ?」
「ああ、まぁ、そうだね」