犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 奴隷なんていびつな関係です。
 だけど、ちょっと嬉しいのも事実なんです。一緒に行動できる誰かと出会えたことが……。

 はぁー。さんざん泣いた。どれくらい泣いたのかな。ぐぅーっとお腹が再び悲鳴を上げている。
 泣いてばかりはいられない。とりあえずぼろ雑巾よりひどい恰好していたから、バーヌの服を買おう。サイズは分からないけれど、ざっくりとしたサイズで売っている服なら問題ないだろう。男性用のLサイズのシャツとズボン。
「お待たせいたしました、ご主人しゃみゃ」
 姿を現したバーヌの頬っぺたをつかんで伸ばします。
「敬語、それからユーキ」
「あ、はい、えっと話し方はその、ちょっとかたっ苦しい話し方がデフォルトなので、なかなか治せないかもしれませんが……えっと、ユーキ、戻ってきました」
 うーん、見た目年上の人に敬語っぽいしゃべり方をされていると思うとむず痒いのですが、よく考えたら私って28歳ですし、バーヌが年下って可能性もあるんですよね。見た感じ30歳前後に見えますが、西洋風顔立ちですから、実年齢20代前半とかありそうです。
 それに、獣人の成長スピードが分からないけれど、犬の寿命は人よりも短くて、大人になるのも早いから、実はまだ5歳とかそういう可能性だってないわけじゃないですよね……。
 年下から敬語で話しかけられると考えれば、まぁ、それほど特殊なことじゃないでしょうか。
「えーっと、んじゃ、言葉は少しずつもうちょっと砕けてくれればいいから、えーっと、それ、とってきてくれたの?ありがとう」
 お礼を言うと、バーヌが嬉しそうに笑って、尻尾が揺れます。
 もう!その尻尾、凶器ですよっ。
 もふりたくなるじゃないですか!
 イケメンの笑顔ってだけでも胸きゅんものなのに、何なんですかっ!もう!

「こんなものしか獲れなくて申し訳ありません、その、少し自分の腕を過信していました。どうやらまだ完全に体がもとに戻っていないみたいで、鍛え直さないと駄目みたいです……」
 えーっと、右手には、ウサギくらいの大きさで黒い毛の丸まるとした猪みたいな形の獲物が2匹。
 左手には、ラフランスみたいな形でリンゴのように赤い果物が10個ほど抱えられています。