犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 もしそうなら……馬車代の節約にもなりますし、妹を探しやすく……。
「守れと命令してくだされば」
 うう、命令……。
 ダメダメ、やっぱり奴隷なんて無理です。命令とか、そんなの……人としておかしいです。同じ人なのにっ。
「このまま僕を見殺しにする気ですか?」
 もうっ、小首を傾げないでください!
 頭なでちゃいますよっ!
「ほかにも人がいっぱいいるんですから、別の人に頼めばいい……」
 くるりと背を向けてダッシュ。
 駄目、むりぃー。私にご主人様とか、むりぃー。逃げます。逃げます。
 って、無理でしたー!
 逃げるのが無理でしたー。
 私の脚力じゃ逃げきれませんでした。先回りされて、また道をふさぐように膝をついて待っていますっ。
「お願いします。ひどい扱いをするご主人様の元で働きたくありません。それに、命を救っていただいたご恩返しもしたいのです」
 ひどいご主人様というところで、ちょっと胸がずきりとする。
 で、でも、駄目駄目。。
「いや、本当、恩返しなんていいし、えーっと、ボク、鑑定魔法が使えるから、いいひと探してあげる。そうだ、ジョーンさんもいいひとだよ?」
 膝をつき、私よりも頭2つ分低い位置から見上げる破棄奴隷。
 視線は耳に釘付けです。
 ずいぶん薄汚れた金の髪に白かったはずの肌。汚れているのに、めちゃくてゃイケメンすぎて輝いて見えるけど、そんな顔よりも耳が……。
 耳がぁ!魅力的すぎて……。
 ちょこちょこと、時々何か警戒するように動きます。ああ、私が何か話をしたときにもぴくんと動きます。
 うううー。
 触りたい。もふりたい。
 いや、だめだめ。
「僕は、ご主人様がいいです。お願いです。僕を奴隷にしてください」
 だから、無理ですよ、命令とかしたくないですし、奴隷を持つなんて人として終わってる感じがして、なんか、絶対無理なんですっ!
 どうしたら諦めてくれるんでしょう。意地悪なことを言えばいいのかな?
「無理だったら無理、僕の奴隷になんかなったら、バーヌって呼ぶよ?」
 びしっと意地悪を言ってみます。
「かまいません」
 なんでっ、犬扱いなんですよ?勝手に名前つけられちゃうんですよ?嫌でしょ?嫌だよね?!
 しかもバーヌの名前の由来は、バウって鳴く犬、縮めてバーヌなんですよっ!犬の中の犬の名前なんですよっ!