犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「だったら、もう自由に生きればいいんじゃないかな?」
 この世界での獣人は別に特殊でもなんでもありません。街では10人~15人に1人くらいの割合で見かけます。差別を受けているような印象もありません。
「僕は、解放奴隷じゃなくて、破棄奴隷です」
 うん、知ってます。
 まぁ、私は鑑定で知ったんですが……そういえば、ほかの人は見ただけで破棄奴隷だって言ってましたよね。え?なんで見ただけで分かるのでしょうか?
 犬耳がぴくぴく動いているのばかりに目が行ってしまいますが、改めて視線を移します。
 首に隷属の首輪がはまっているとか、足に鎖がついてるとか?
 うーん、それっぽい目印は見当たりません。と思っていたら、男が左腕を突き出しました。
「奴隷紋です」

 手首のあたりに、まるで腕輪のように5ミリほどの線がぐるりと3本描かれています。
 肩に近いほうから赤、青、青です。
 あら、かわいい。と、じーっと見ていると、何か言葉を待っているのか、犬耳男が、私の顔をじーっと見ています。
 ううう、待てをしているときのバーヌにしか見えないからやめてぇ!
 思えば、バーヌも美犬でした。
 人間になれば、この目の前のイケメンくらい整った顔立ちをしているのかもしれません。
 って、そんなことを思うと、バーヌの生まれ変わりみたいな風に見えてくるから不思議です。
 違う違う。
 ジーっと見てくる男の顔を、思わずシーっと見返してしまいました。
「あの、もしかして、奴隷紋のこと、知りませんか?」
 こくりとうなづきます。
 奴隷制度があるっていうことも知らなかったんんです。奴隷紋のことなど知るわけもありません。
「えーっと、解放奴隷は、奴隷を解放された人で、奴隷紋は消えます。破棄奴隷は、破棄された奴隷で、奴隷紋は残ります」
 何が違うのでしょう?
 主人に手放されるっていう意味では違いがないように思えますが……。
 首を傾げたら、続けて説明してくました。
「解放してもらうためには、奴隷ギルドで奴隷解放魔法を受けなければいけません。ご主人様と奴隷の双方の合意が必要です。奴隷を破棄するには、ご主人様の一存で可能です。奴隷が役に立たなくなったり、必要なくなったり、それから奴隷を養うための糧がなくなった場合などいろいろな理由で破棄します」
 ってことは、世の中に結構破棄奴隷っているんじゃないでしょうか?