犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「耳たぶが、ある……。数年前確かにかみ切られてちぎれたはずの耳たぶが……あのポーションの効果か……」
 リーダーがジョーンさんの顔を見ます。
「おい、さっきの話し合いはなしだ。なし。返せと言われても、昨日買ったポーションは返さないからな?それでいいな?全部チャラだ」
「え?あ、はい……」
 ボー然としているジョーンさんを残して、二人の冒険者は去っていきました。
「効果特大のポーション……」
 ぺたりと、ジョーンさんが座り込みました。
「ユーキは、なんでそんなこと知ってたんだ?」
「え?」
 やばいです。えっと、どう説明すれば……。
「あーっと、もうすぐたぶんマイクさんからギルドにも報告があると思います……その、娘さんがポーションに何か混ぜちゃったんだそうで。えっと、それで偶然できて、再現できるかは分からないから、その、マイクさんから昨日買い入れたポーションだけが特別なはずで……」
「なんだって?確か昨日は10本買い入れて……。さっきの冒険者に5本、それから槍使いに3本売ったから……。残りは2本か!いや、こうしちゃいられない、どれだったか。個人的に売買するには手に余る。ギルドに販売を委託しないと……。ああ、ユーキ、ユーキのおかげで助かったよ。これ、お礼だよ」
 ジョーンさんが銀貨を4枚差し出しました。
 4万ほどの価値。
「え?こ、こんなに?」
「ああ、これでも少ないくらいだ。あの1本でもどれだけの価値があるのか。また売れたら追加でお礼を持っていくよ。高価なものだからいつ買い手が現れるのかは分からないけれど……」
 お金は欲しい。でも……。
「えっと、僕はその、もう別の町に移動すると思うから、お金は……そう、孤児院に寄付してあげてほしいです。何かあれば孤児院を助けてあげてください」
 お金を受け取るために動きを制限されるわけにはいきません。妹を……望結を探さないといけないのですから。
「わかった。うん、ユーキ。約束する。孤児院に毎年寄付を続けるよ」
 ジョーンさんが私の両肩をポンポンと軽くたたいて去って行きました。
 毎年?ジョーンさんは本当にいい人。そう、面倒見のいい人ですから、きっと毎年本当に孤児院のために何かし続けてくれるんでしょう。
 ジョーンさんの後姿を見送りながら、ほこほこと心の奥が温かくなるのを感じます。