犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「毒じゃないだと?坊主は見てなかったのか?あのネズミを!」
 男がネズミがのたうち回っていた場所を指さす。
「あれ?どこ行った?」
 すでにネズミの姿はありません。元気になって逃げていったのでしょうか。
「あの、そちらの方が使った金貨1枚もする高価の高いポーションは欠損部位の再生までできるものでしたか?」
 突然話を振られて、槍を持った男が眉を寄せました。
「はぁ?金貨1枚じゃぁ、そんなの無理に決まってるだろ。失った足がにょきにょき生えてくるポーションがそんな安く手に入るなら冒険者を引退する人間はもっと減るだろう」
 金貨1枚が安い?いやいや、高いですよ。100万くらいの価値なんですよ。
 うん、でも分かりました。
 効果特大のポーションは高級品だってことですね。それならば……。
「じゃぁ、効果特大のポーションのあるところ教えますから、とにかくついてきてください!」
 槍を持った男とリーダーと呼ばれていた男が顔を見合わせます。
「ユーキ、何を言っているんだ」
「ジョーンさん、僕が鑑定もちだって知ってますよね?信じてついてきてください」
 私の言葉に、ジョーンさんは心配そうな顔をしながらも後についてきてくれました。ジョーンさんの両側には冒険者が立ちます。
 そして、なんだなんだと、やじ馬たちの何割かも後をついてきました。
 確か、このあたりだったはずですが……。
「いた!」
 小走りに駆け寄ります。
 まだ、さっきと同じようにぎゅっとうずくまったままです。
 いや、誰かに何かされたのでしょうか……。血が流れています。よく見ると確かにさっきまであった指がいくつかありません。
 手に握っていたパンがパンくずに代わっています。野良犬にでも襲われたのでしょうか。
 あまりにもひどい状態に目を反らしたくなります。
 だけれど……。
「なんだよ、破棄奴隷か?」
「まぁ、こりゃポーションでもどうにもなんねぇから破棄は分かるが……もっと人目に付かない場所に破棄しろよなぁ」
 まるでゴミでも見るようなさげすんだ目で破棄奴隷を見ていた街の人が吐き捨てるように言葉を発します。
「けっ。俺があとでうるさいやつらがいない場所に連れて行ってやるよ」
 リーダーが街の人を睨みつけました。