犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 娘は僕がポーションを作るときの真似をして、何らかの植物をつぶして汁を出したと言うのだ。親の仕事を誇りに思って真似をしてくれるのは嬉しいが、僕が席を離れた一瞬のすきに、その汁を……昨日僕が作っていたポーションに混ぜてしまったと……。
 何か一つでも別のものが入れば、たちまちポーションは変質してしまう。
 効果が高くなるか低くなるか、まったく効果がなくなるか。……物によっては毒にさえ変わってしまう。
 あわてて裏の小屋へ昨日作ったポーションを1本持っていく。
 新しいポーションを開発するために、傷ついた動物を見かけたら保護して小屋で飼っているのだ。
 実験するためと言えば動物に悪いが、傷を治すためにと言えば少しだけ心が楽になる。
 片方の羽がもげ、片目もつぶれいる鳥。僕の作るポーションで命は助かった鳥に、娘が何かを混ぜてしまったポーションを与える。
 バサバサバさっと残った片方の羽を激しく動かし、止まり木から落ちた。そしてそのまま痛みに耐えるように必死に体を動かしている。
「ああ、なんてことだ、なんてことだ……」
 小屋を飛び出した。
 ジョーンさんの店に。昨日作ったポーションはすでに何本もジョーンさんに売った。効果中のポーションが大量に欲しいからと言っていたので、できた分はほとんど持っていったのだ。
 ジョーンさんはどうしただろうか。
 1本ずつ鑑定していた?
 何本か抽出して鑑定しただけだったか?
 鑑定結果で「確かに効果中ですね」と買い取ってくれた。だが、その結果は……ポーションとしての効果なのか?鑑定結果はどう表示されるのか僕には分からない。
 もし、毒としての効果中なんてことになっていたら……。
「ジョーンさん、ジョーンさん」
 店のドアをどんどんと叩くけれど、人は出てこない。
 僕の作ったポーションを誰かに売ってしまう前に回収しなければ。
「ああ、ジョーンさんなら昨日、隣町へいく馬車に乗っていったよ」
 騒がしくしていたためか、近所の人が教えてくれた。
「と、隣町に?」
 どうしたらいい、どうすればいい……。
 そうだ、ギルドだ、ギルドに依頼を……。隣町に移動したはずのジョーンさんに伝えてもらうように……。】


 ああ、なんてこと。行き違いなんですね。小さな子供のちょっとした行動が引き起こした……。
 誰にも悪気のない事件。