犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

「失敗した。背中が曲がって、顔色も悪かったが安かったから奴隷として買い入れたのに。荷物持ちくらいにはなるだろうと。それなのに、まさか3日でふらふらになって歩くこともできなくなるなんて。安かったのは、病気だったからなんだろう。畜生、まんまといっぱい食わされた。どうせ効果の小さなポーションじゃぁどうにもならなかったから俺に押し付けたんだろうな。餌を食わせるだけでも維持費がかかるからな。俺もさっさとキバノの街に捨てて来て正解だぜ」
 うずくまっているファルベルを見る。

「病気……なの?大丈夫ですか?」
 そっと手を伸ばしてみますが、顔を上げる力も手を動かす力ももうすでに残っていないようです。
「おう、坊主、ほかっておけ。その腕の印、奴隷だろう?大方、病気かなんかで主に捨てられた破棄奴隷だろう。残念だが、破棄された奴隷は長く生きられないよ」
 フードを目深にかぶった冒険者のなりをし男が、私の手をつかんで立ち上がらせました。
 それから、破棄奴隷の手の平に、小さなパンを握らせます。
「食べられないかもしれないが、食べられそうなら食べな」
 ああ、いい人です。
「ありがとうございます」
「なんで坊主が頭を下げる?」
 ぷっと笑われました。
「さぁ、もう行け」
 しっしと追いやられたので、慌ててその場を離れます。
 奴隷。
 ……奴隷……。
 どうして奴隷になったんでしょう?
 どういう人が奴隷になるんでしょう?
 奴隷になったらどんな扱いを受けるんでしょう?
 バクバクと心臓が痛いです。
 日本で奴隷という言葉から受けるイメージが悪すぎて……。
 ああ、妹の望結は大丈夫でしょうか。
 こっちの世界に来て、悪い人につかまって売られて奴隷になっていたりしないでしょうか……。
 どうか、どうか無事でいて。
 
 ジョーンさんの泊まっているという4番通りの6番宿の前にに、人垣ができてました。
 何があるんでしょう?
 人垣に近づくと男の人の罵声が聞こえてきました。
「お前のせいでひどい目にあったんだ」
 がっ。と、物をぶつけるような音。
「毒をポーションと偽って売りつけるなんて」
「そ、そんな。私は毒なんて売ったりしていません」
 え?今の声はジョーンさん?
 人垣を分けて前に出ると、地べたにひざまずいているジョーンさんの姿が見えました。目の周りが青くなっています。
 殴られた?