その調子で安くて評判のいい宿屋を探します。レビューサイトで一度にほかの宿屋の情報も得られればよいのですが、そううまくはいきません。
実物がないと鑑定できないのです。
移動して宿屋の看板を見つけて、鑑定してから検索という手順を踏まなければいけません。
通りを2つ移動して見つけた宿屋に入ります。評判も良く、お金も足りる宿です。
「すいません、部屋は開いていますか?」
「ごめんなさいね。今、ダンジョンがお宝祭りだとかで、冒険者が次々にやってきて満室なのよ。たぶん、どこもいっぱいだと思うわ」
え?
「どこも……いっぱい?」
そういえば、お宝祭りだとジョーンさんが言っていました。人がたくさん来るから商売になる……ということは、宿も当然人でいっぱいですよね……。
ってことは野宿をしなくちゃならないのでしょうか?
えっと、さすがにちょっと野宿は怖いですね。どうしましょう……。
◆
困った顔をしていた私をかわいそうに思ったのか、宿のおかみさんが声をかけてくれます。
「君、一人?」
はいと、返事をしても大丈夫でしょうか。返事を躊躇している間にも、おかみさんが言葉を続けます。
「だったら、教会へ行けば何とかなるかもしれないわ」
「教会?」
「大人は無理だけど、子供なら……。教会の隣に孤児院があるから、泊まれないか聞いてみるといいわよ?」
孤児院……。
いくら男の子に見えると言っても、本当は大人です。それはさすがにずるい気がします……って、ちょっと待ってください?妹も、困って孤児院にいる可能性もあるんじゃないでしょうか?
「はい、ありがとうございます。行ってみます」
「ああ、じゃぁ、ちょっと待って」
おかみさんが奥に何かを取りに行きました。
「これ、宿泊客が置いて行った物なんだけれど、孤児院に持って行って寄付してくれる?」
「置いていった?」
忘れ物かな?それとも荷物が増えて出ていくときに邪魔だからゴミとしてわざと置いていった?のでしょうか。
首を傾げると、おかみさんがしぃっと唇に人差し指を立てました。
あ。
手渡されたものは、とても忘れていくとは思えない着替えがそのまま入った袋なんかもあります。
冒険者が宿泊しているとしたら……ダンジョンに行って、そのまま戻ってこないこともあるのかもしれません。
実物がないと鑑定できないのです。
移動して宿屋の看板を見つけて、鑑定してから検索という手順を踏まなければいけません。
通りを2つ移動して見つけた宿屋に入ります。評判も良く、お金も足りる宿です。
「すいません、部屋は開いていますか?」
「ごめんなさいね。今、ダンジョンがお宝祭りだとかで、冒険者が次々にやってきて満室なのよ。たぶん、どこもいっぱいだと思うわ」
え?
「どこも……いっぱい?」
そういえば、お宝祭りだとジョーンさんが言っていました。人がたくさん来るから商売になる……ということは、宿も当然人でいっぱいですよね……。
ってことは野宿をしなくちゃならないのでしょうか?
えっと、さすがにちょっと野宿は怖いですね。どうしましょう……。
◆
困った顔をしていた私をかわいそうに思ったのか、宿のおかみさんが声をかけてくれます。
「君、一人?」
はいと、返事をしても大丈夫でしょうか。返事を躊躇している間にも、おかみさんが言葉を続けます。
「だったら、教会へ行けば何とかなるかもしれないわ」
「教会?」
「大人は無理だけど、子供なら……。教会の隣に孤児院があるから、泊まれないか聞いてみるといいわよ?」
孤児院……。
いくら男の子に見えると言っても、本当は大人です。それはさすがにずるい気がします……って、ちょっと待ってください?妹も、困って孤児院にいる可能性もあるんじゃないでしょうか?
「はい、ありがとうございます。行ってみます」
「ああ、じゃぁ、ちょっと待って」
おかみさんが奥に何かを取りに行きました。
「これ、宿泊客が置いて行った物なんだけれど、孤児院に持って行って寄付してくれる?」
「置いていった?」
忘れ物かな?それとも荷物が増えて出ていくときに邪魔だからゴミとしてわざと置いていった?のでしょうか。
首を傾げると、おかみさんがしぃっと唇に人差し指を立てました。
あ。
手渡されたものは、とても忘れていくとは思えない着替えがそのまま入った袋なんかもあります。
冒険者が宿泊しているとしたら……ダンジョンに行って、そのまま戻ってこないこともあるのかもしれません。


