犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 楽しんですね。ルクマールさんとのじゃれあいみたいな会話が、きっと。
 もしかしたら冒険者時代からの顔見知りなのかもしれません。
「じゃぁな、灼熊のルクマール」
 ひらひらと手を振って、一緒に出張ギルドを後にしました。
「まてー、俺も、俺も奴隷になる、ユーキ、俺をお前の奴隷にしてくれっ!な?」
 は?
 なんか、変なことを言っています。
「やだー、やだー、調書とか報告書とか、めんどくせー、お偉いさんに説明とかやりたくない、ユーキ、俺、冒険者辞める、奴隷になるーっ!」
 振り返れば、フィーネさんたちが必死にルクマールさんを抑えて引きずっている姿が見えました。
「奴隷になったら、まずはギルドで調書を作るように命令しますから、それでもいいんですか?」
 と、ちょっと意地悪を言ってみます。
 もちろん、命令なんてする気はないですし、それ以前に奴隷にする気なんて少しもありません。
「うぐっ」
 涙目のルクマールさんに手を振ります。
「嘘ですよ、またどこかで会ったら、今度はレバーフライじゃなくてとんかつか何か別の肉料理をごちそうしますから、頑張ってくださいね!」
「肉っ!」
 肉の単語一つで、ルクマールさんの目の色が変わりました。
 ふふ、楽しい人です。
「ユーキ、いつまでルクマール見てるんですか」
 はい?
 いつまでって、そんなに長い時間は見てないと思うんですけど?
「奴隷になりたいなんて、変なこと言ってたね、ルクマール。よっぽど調書が嫌なのかな……。奴隷なんて辞めたくても辞められない人がいっぱいいるのに……」
 視線を落とすと、バーヌの奴隷紋が目に入ってきた。
 ん?
 あれ?
「ねぇ、バーヌ、そういえば、主人の同意があれば、奴隷って解放されるんだよね?奴隷ギルドに行って解放してもらいましょう!」
「は?」
 バーヌが足を止める。
「僕が、いらないの?」
 尻尾が力なく垂れています。
「いるとか、いらないとか、そういう物みたいな言い方しないで」
 ちょっとむっとなってキツイ言い方になってしまいました。
 ううん、違う。
 そうじゃないんです。
 ずっとそばにいてくれたらいいのにって思っていて……。
 奴隷じゃなくなったら、奴隷紋がなくなったら、自由になったバーヌは……。
 私の元を離れていくのかなってそう考えたらちょっと寂しくなってしまったんです。