『・・・ちょっと聞こえてんの?!』
スマホを通話状態にしたまま机の上に置く。
そっと隙間を覗くよりも、思い切りカーテンを開ける方が恐怖心が緩和される。はず。
どうせ庭の窓の鍵は掛かっているから大丈夫。
隙間の裾をそれぞれ左右に両手で掴むと、シャッと勢いよくカーテンを両側に開けた。
曇っていると思っていた外はけっこう晴れている。
その太陽の陽射しを浴びながら、暑そうなスーツを涼やかに着こなす人物が一人、
ガラス越しに立っていた。
カーテンを開ける直前よりも心臓が跳ね上がる。
その人物はどこかで見たことのあるような顔立ちだった。
薄い栗色の髪の毛で前髪を真ん中で分けた
綺麗な顔。
ノーネクタイにおしゃれなストライプのスーツを着こなす人物が立っていた。
怖すぎる。
当たり前だが塀をさっと乗り越え敷地に入ってくる里桜とはまるで様子が違う。
何故そこにただ立っているだけなのか、
用があるならとっとと窓でもノックすればいいものを。
いや、玄関のドアをノックするべきだ。
絶対に私は窓の鍵は開けてやらない。
白い肌が透き通った綺麗な顔で爽やかな笑顔を向けられたって開けてはやらない。
机に置いたスマホを慌てて手に取り瞳子さんに話し掛けた。
「と、瞳子さん・・・だ、誰か知らない人がいる・・・!!」
私が電話で助けを求める様子にも外に立つ彼は一切動じていない。
でもスマホから瞳子さんの声でこうはっきりと聞こえた。
『そっちに一人見張りの私服警官を行かせたから。』
・・・え??
ああ、そういうことか。
「す、スーツの男の人が立っていましゅ・・・」
『うん、何か欲しいものとかあれば宮部に言えばいいから。』
宮部・・・さん?
「わ、分かりました・・・。」
私がスマホの通話を切ると、宮部さんがさりげなく私に頭を下げた。



