私は、里桜が好きだから凌久の元には行かないよ─────
「なんで・・・GPSのアプリが・・・」
「っっ!!」
ベッドの淵に手を掛けるハン君がゆっくりと立ち上がる。
「消したはずなのに・・・」
ハン君がズボンのポケットに入っていた自分のスマホを取り出し、画面に視線を落とす。
頭から血を流す彼に里桜が顔をしかめた。
「っく・・・」
里桜がハン君の「狂喜の血」の匂いを我慢するかのように手で鼻を塞ぐ。
私を片手で抱え直し、ぎゅっと抱っこをすると上半身裸のハン君を睨み付けた。
「・・・須藤の仲間がお前のスマホをハッキングしてリモート操作したんだよ!」
「・・・」
ハン君が少し間を置いて呟く。
「───蘭と、斗和・・・」
蘭と斗和が、私を探すために?
遮光カーテンの向こうからは車のクラクションが聞こえてくる。
ベッドを挟み、カーテンの前に立つハン君が耳を澄ませるように言った。
「・・・MINI・・・」
少し低めのクラクションの音だ。
「二越の兄貴が猛スピードでここまで乗せて来てくれたんだよ。」
え?
洸太郎が?!
私のことを嫌いだとばかり思っていた洸太郎がわざわざ車を出してくれたの?!
「良かったな、いい"仲間"を持って。」
里桜がニヤリとハン君に嫌味を言い放った。
凄い。
loserはloserでも、皆fakeだ。



