横を見ると遮光カーテンのついた窓が、反対側の横には小さなテーブルと棚が置かれている。

ここはどこなのだろう。

少なくともこんな殺風景な暗い部屋、大学の寮ではなさそうだ。

鎖は自分の四肢と身体に触れられないような微妙な長さで、

首元にかかる髪がむず痒くって頭を必死に振ってどかした。



私が恐怖で逃れようとしているかと思ったのか、ハン君が甘い声で囁く。


「大丈夫だよ。落ち着いて?」


そして、私の胸元に手を置いた。


「やッッ」


触らないでっ・・・気持ち悪いっっ・・・

その言葉を口にすることすらおぞましく思えた。


手を置かれた自分の胸を見ると、自分の呼吸の荒さで浮き沈みを繰り返している。

まるで心臓を鷲掴みにされている気分だ。



でも胸の周りを見ると、自分の服が真っ赤なノースリーブのワンピースになっていることに気が付いた。

袖には大きなフリルがついている。


「ッな!何この服?!」

「あの服、あまりにも似合ってなかったから、破り捨てたよ。君は、赤がよく似合うね。」


ハン君の手が胸元から私の首筋へと移動し、血管に沿って人差し指を這わせる。

憂いのある表情で、爪を立てているようないないような・・・


むず痒さを我慢し思い切り睨み付けると、ハン君に喰ってかかった。


「・・・ハン君っ!・・・マジきもい!!!」




駄目だ、全然効いてない。

ハン君が全く表情を変えないまま私の肩に視線を合わせる。


「君はあんなことをされても、こんなにも美しい身体なのに・・・。
この薄く残っているのは、なに?

まさか、獣の咬み痕??」