砂埃は晴れていくのに、目の前の光景が徐々に(かす)んでいく。


後ろから物音一つ立てず、冷たい気配だけが私を包んだ。


「・・・ジャマ者は飛ばしたから、そろそろ行こうか。」


只前を向いたまま顔面蒼白になる私を、ハン君が私の脇に手を入れ持ち上げる。


逃げれば凌久がまた狙われるかもしれない・・・


逃げたい気持ちを必死に堪え震える身体を正面に向けられた。


ハン君の可愛い顔が見えたのも束の間、

後ろから首を片手でぐっと掴まれたまま

口の中に舌を無理矢理ねじ込まれた。


「ッッ」


驚愕のあまり拒否することも忘れ


怖いと感じる頃には、既に闇の中へと落ちていた。



ショルダーバッグから鳴る音にも気付かないまま・・・。