「君ならボクを分かってくれるし、君のこともボクなら分かってあげられる。

伊東さんこそがボクのソウルメイトだって、ずっとずっと信じてきたんだ。」


不意に頭に浮かんできた里桜の言葉が胸に突き刺さる。


『お前そいつに騙されてるって。』


里桜はもう、助けてくれないのかな。


『・・・・それは、俺たちじゃお前を守れねぇから・・・?
アイツになら守って貰えそうだから庇ってんの・・・?』


・・・無理だよね。


瞬時に踏み込む砂利の音が聞こえて、あっという間に凌久の顔面間近にハン君の拳が入り込んだ。

凌久が咄嗟に両腕でカバーするも、拳の重みに膝を震わせながら崩れ落ちる。

地面に膝をつく凌久の上から、ハン君がブランコに座る私を見下ろした。


「伊東さんはボクにとって、하느님(神様)だから。ボクだけのものにしたいんだよ。」

「ならなんでこいつに手を出そうとすんだ!!」


凌久が両腕で拳を抑え返しながら叫ぶ。


「ボクの手でボロボロにして、動けなくなった伊東さんを、ボクの手でお世話したいんだ。」


心臓を身体の中から鷲掴みにされたように息苦しくなり

爪先から全身が震え上がる。


ハン君の(はかな)げな表情で見る目には目の前の凌久じゃなく、私しか映っていない。


「・・・それなのに君を先にボロボロにした奴らがいるなんて・・・
何度も嫉妬で、狂いそうになったよ・・・。」