「これから俺は織果を送ってく。金髪はそいつを送ってくのか?」
「・・・・ああ・・」
こんなところで私の名前を呼び捨てにする凌久が分からない。
さっきまでは"お前"ばっかだった癖に。
視線を合わせないまま凌久の問いに応える里桜に、女子高生が里桜の袖を引いた。
「一氏君、行こう。」
何のためらいもなく女子高生に袖を引かれるまま、里桜が後ろを向く。
「おい金髪!」
「・・・あ"?」
「昨日は直ぐ帰ったらしいじゃねえか。」
「は?」
凌久が里桜を呼び止めた。
その瞬間も私とは目が合わなくって、只歯を食い縛り涙が出るのを我慢する。
「いっちょまえに俺に啖呵切っといて中途半端なことしてんじゃねえよ。」
「っ・・・」
「こっちはこのままかっさらうことだって出来んだ。もっと意地んなるくらい保護れよ!」
「なっ!・・・何だよ保護れって!!」
「知るか。自分で考えろ。」
凌久が前を見据えたまま、2人の横を通り越しうちの方へと歩き出した。
『里桜、昨日はごめんね?
ライン送ったんだけど、電話でもして謝れば良かったね。
だからさ、今日は一緒に夕飯食べてくれる?
里桜とまた一緒に夕飯の買い物行きたいなあ。』
どんなに視線を合わせてくれなくたって言葉にすれば違ったかもしれないのに。
こんな時でさえ可愛げのある女になれない私が"里桜を選ぶ"だなんて、図々しいにも程がある。
私は凌久の胸元のシャツを両手で握ったまま、静かに涙を流した。



