何だかんだ思っていたよりも広い園内を一周するのには時間がかかって、気付くと既に15時前。
ボーっとフラミンゴを見つめる私を凌久が後ろから抱き上げた。
「そろそろ帰るぞ。」
「・・・もうちょっとここに居たい。」
「・・・"心ここにあらず"って感じなのに?」
「・・・・」
そんな感じかどうかも自分ではよく分からず
抱っこされた私は只されるがままに帰ることになった。
最寄りの駅に着くと、やっぱり私は凌久に抱っこされたままで
ちょうど学校が終わる時間とあってか、制服を着た学生たちがそこらじゅうに歩いていた。
凌久とすれ違う女子高生たちが何度もこっちを振り返って見ている。
駅の構内を出る直前、凌久が人ごみの中途端に足を止めた。
「どうちたの?」
凌久の首にしがみついて後ろを見ていた私は前を向いた。
でも前を向いた瞬間、凌久の溜め息が上から降って来て
ぐるぐると回っていた思考がフェードアウトする。
人ごみの喧騒が一斉に遠退いていくみたいな感じに。
何故なら目の前には
里桜の姿があって、
隣には知らない制服を着た女子高生がいて・・・。
「・・・り、おー・・・」
「なっ・・・、何やってんだよお前っ!!」
息が、上手く吸い込めない・・・
周りがグレースケールにぼやけていって、
きっと今ここにいる私たちだけが色を持っている。
「・・・金髪が生意気にデートか。俺は今こいつとデートして来たとこ。」
「っっ!!」
凌久が馬鹿みたいに挑発して、里桜が咄嗟に顔を赤らめるけれど
私は目の前にいる女子高生に目を見張るばかり。
チェックの膝上のスカート姿が華奢な体型に似合っていて、
綺麗に手入れされたミディアムヘアがつやめいている。
20歳の私とはまるで正反対の女の子。



