ビーチボールが高く飛んだ。



砂地に慣れてない紅葉のトスに



奏ちゃんが何とか



こちらのコートに打ち込んでくる。



でも、やっぱり上手。



端に落ちる。



取りたいっ。




無理して取ろうとした萌と



走ってきたアラタが



ぶつかりそうになる。



「わきゃぁ」



可愛くない声出して、こける萌。




「ペッペッ」



口に砂入ったー。



「大丈夫?」



アラタが手を差し出す。



萌の腕を



クイって持ち上げるみたいに



引っ張って、立たせるアラタ。



その力強さに



萌の身体はアラタに触れそうになる。




「おっと」



「萌、


軽すぎ」



笑いながら、支えるアラタの腕に



視線を上げる萌。



うつむいてた視界を急に




上げたせいで




チカチカ閃光(せんこう)が走ったように




眩んで(くらんで)



太陽を背にして立つアラタの顔は見えなくて。




だけど、



慣れてくる萌の目に



アラタの日に焼けた骨ばった腕。



筋肉質な胸が近くて



萌の胸が変な音をたてた。




「萌?大丈夫?



どっか打った?」



止まってしまったような萌に



覗き込むアラタ。



萌の目の前に



キレイな曲線に縁取られた目が、



キラキラしてる



その目が自分に近すぎて



急に、恥ずかしくなったみたいに



体温が上がった。



「だ、大丈夫っ」



そう言いながらも、アラタを真っ直ぐ




見れなくて…




「うーしっ。勝つぞー」




そう言いながら、背中を向けた




アラタにやっと視線が送れて




広い肩はばに、小麦色の肌に




何だか、視線が離せなくて




もちろんわかってたけど、



 
オトコのコなんだな。



って、自分とは違う生き物なんだな




って、今さらながら



再確認したみたいな



変な感じ。



アラタの触れたとこがまだ



熱くて。




勝手に萌の胸はドキドキした。