はにかみながら頷くヒナと一緒に廊下に出る。


するとそこで、ヒナが俺に尋ねてきた。


「そういえば翠くん、小テストどうだった?」


少し心配そうな顔で俺の顔を見上げる彼女に、ニッと笑ってピースをしてみせる。


「それがさー、バッチリだった。奇跡の60点超え」


「わぁっ、ほんと? よかった!」


「うん。武藤もすげー驚いてたよ。なんとかレギュラー外されなくて済んだわ」


ちなみに先ほど返された小テスト、赤点の危機から俺を救ってくれたのは、他でもない彼女だ。


ヒナがあの日の放課後、俺に数学を教えてくれなかったら、絶対アウトだったと思う。


「全部ヒナのおかげだよ。マジで助かった。ありがとな」


ヒナの頭に片手を乗せ、ポンポンと撫でる。


そしたらヒナは照れくさそうに顔を赤らめた。


「そ、そんな……っ。お役に立てたなら、私も嬉しい」


こうやってすぐ赤くなるところもまた、たまらなく可愛い。


ヒナはとにかく素直だし、反応がいちいち可愛いから、つい構いたくなってしまう。


お人好しで、いつも一生懸命で、でもどこか不器用でほっとけなくて。


そんな彼女に俺は、いつのまにか惹かれていた――。