おそるおそる視線を合わせると、翠くんが優しく目を細める。


「やっぱり、キレイな目してる」


あまりにも距離が近くて、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。


「なぁ、涼川の下の名前ってさ、雛乃だよな?」


手首を握ったまま、翠くんが尋ねてくる。


私の下の名前、知っててくれたんだ。


「……うん」


「じゃあ、ヒナって呼んでもいい?」


えっ?


「い、いいよ」


頷いた途端、さっそく名前で呼んでくる彼。


「ヒナ」


「……っ」


わあぁ、なにこれ。めちゃくちゃ照れくさい。


なんか翠くんに呼ばれると、すごい破壊力があるような。


「ぷっ。顔真っ赤」


「だ、だって……! そんなふうに呼ばれたの、初めてで……」


「もしかして、ドキドキしたの?」