「いや、なんとなくつけてただけだけど。雛乃はこのドラマ、見たことあるの?」


「うん、一時期ハマって見てたんだ。すっごく胸キュンするし面白いよ」


「へぇ、そうなんだ。どんな話?」


「えっとね、失恋したてのOLが、電車の中で出会ったイケメンと恋に落ちるお話だよ」


「そうなんだ、面白そうだね。私も見てみようかなぁ」


「うん、おすすめ……ケホッ、ケホッ」


するとその時、突然雛乃が軽く咳をしたことに気が付いて。


「大丈夫っ?」


思わず声をかけたら、雛乃は申し訳なさそうな顔で言った。


「ごめんね、大丈夫だよ。なんか昨日の夜からちょっと風邪っぽくて、咳が出てて」


「えっ、そうなの? じゃあ今日はなるべく家でゆっくりしてたほうがいいよっ」


「うん、ありがとう」