――キーンコーンカーンコーン。


お昼休みを告げるチャイムが鳴る。


どんよりした気持ちのまま、カバンの中からお弁当を取り出す。


なんだか全然お腹がすかないし、昨日のショックからいまだに抜け出せていない。


とりあえず江奈ちゃんと話して元気を出そうと思い、お弁当を手に廊下に出る。


江奈ちゃん、部室にお弁当置いて来たって言ってたから取りに行ったかな?


とりあえず部室のほうまで行ってみようかな。


そう思いまっすぐ廊下を突き進んでいったら、その時突然うしろからトンと肩を叩かれた。


「ヒナ」


その声に心臓がドキッと跳ねる。


振り向くと、ニコッと微笑む彼の姿。


「あ、翠くん……」


「やっと見つけた。今日も昼飯一緒に食べよ」


いつも通り誘ってくれたのは嬉しいけれど、なんだかとても複雑な気持ちになる。


どうしよう。でも、正直今日は……。