視察も終われば、保育園には日常が戻ってきている。
 季節はそろそろ真夏を迎えるが、ここアルアローザは日本の夏に比べて過ごしやすい。

 カラッと晴れるし、暑くてしんどいと思う頃には夕立で気温が下がって過ごしやすくなるのだ。
 この頃になると、羊族の子ども達は親に一斉に毛刈りされてすっかりスリムボディになっている。

 もふもふ可愛いけど、夏は暑いもんね、見るからに……。

 そんなスリムボディを手に入れた子ども達は、毛刈りで涼しくなってからすっかりいつにもまして元気に動き回っている。
 大人のほうが人型になれても暑さには弱いかもしれないなと思ったものである。

 そんな短くなった子たちの毛でも、私は相変わらずもふもふなでなでしまくっていたところ、最近どうもうちの園の子たちの毛艶が良くなっている気がした。
 気のせいかなと思っていたところ、子ども達の刈った毛を洗って紡いで糸にしたらしいライラさんから聞かれたのだ。

 「ねぇ、ハルナ。あなた、もしかしてなにかスキル持っているんじゃないかしら?」

 そう言われて、私ははて? と首を傾げてしまう。
 スキルになんてとんと思い当たる節がないからだ。

 「なんでそう思ったんですか?」

 私がそう聞くと、ライラさんは教えてくれた。