(黒いマントも羽織ってるし、吸血鬼のコスプレかな?)と、心の中で思った。

「お菓子か。ちょっと待っててね。すぐに持ってくるから」

私は男の子を玄関で待たせ、台所へと向かった。

「たしか、ポッキーとかがあったはず。……あれ?」

どこを探しても、お菓子は見つからなかった。

そんなはずはない。だって、出かける前はあったのだから。


急に無くなることなんてあるの?

私が不思議に思っていると、

「へぇ。これはポッキーっていうのか」

背後から声がした。でも、さっきの男の子の声じゃない。

あきらかに高校生くらいの男の声だ。