オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~



盛り上がる輪の中で美紅はひとり、その空気に馴染めずに黙々と肉を食べ続ける。
あれからも一慶とはひと言も話さず、距離も置いている。たまに目が合うたびにそそくさと逸らし、なんとも言えない気持ちになった。

……仲良さそうだな。

一慶と紀美加の様子を見ると、ジリジリと胸が焼けつく。彼女のように猛アプローチできたら、美紅と彼の関係性も少しは違っていたのだろうか。

そんな幻想を抱いては、〝まさか。幼馴染は幼馴染だよ〟という結論に達する。
深いため息を漏らしてビールをひと口飲んだ。


「美紅、どした。浮かない顔だな」


晴臣が取り皿に野菜と肉をたくさん盛って、美紅の隣に腰を下ろす。


「そんなことないよ」


慌てて取り繕うが、「俺にはわかるんだよ」と一蹴された。


「本当はなにかあったんだろう?」
「だ、だからなにもないってば」


ぐいと顔を近づけてきた晴臣から体を遠ざける。