オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~


子どものころから知っているからこそ、いつまでも美紅は妹のまま。幼馴染ではなく、大人になってから出会っていれば、せめて年齢に見合った目で見てくれただろうに。

あの夜のキスは佐和子の身代わりだったのだと思うと、胸の奥がきゅうっと詰まるように苦しい。


「いっくんのバカ」


忘れかけたところに現れ、また心をざわつかせる一慶に、美紅はポロッと愚痴を漏らした。


日が傾いた午後三時。別荘の敷地内には賑やかな声が響き渡っていた。

佐和子は早くも酔いが回り、なぜだかひとりで歌ったり踊ったり。非日常の時間が開放的な気分にさせるのだろうか。

一慶と晴臣がビールを飲みながら交代で串刺しの肉や野菜を焼いて振る舞い、それをクリエーニュのスタッフたちが食べる。ふたりは、完全におもてなしする側だ。
申し訳ないと思いつつ、ふたりも楽しんで世話を焼いてくれているため、佐和子をはじめとしたみんなも甘えた。

一慶のそばには紀美加がいて、ほぼマンツーマンで話しかけている。一慶もまんざらでもなさそうに笑い合っていた。