「ご馳走は作れないから期待しないでね」
「いや、期待してるぞ」
「だからプレッシャー」


軽く睨みながら一慶の腕を小突いた。

スーパーの店内をあれがいいこれがいいと、ふたりでわいわい話しながら回っていると、不意に八十代くらいの白髪の女性から声をかけられた。


「新婚さんかしら。仲が良くていいわねぇ」


にこやかに微笑まれ、美紅は目が点になる。
新婚って……つまりいっくんと、だよね?
女性の言葉を頭の中で反芻して、途端に顔が真っ赤になる。


「いえっ、新婚なんて! ね? いっくん」


助け舟を求めたのに、一慶ときたらいきなり美紅の肩を引き寄せた。


「ええ、そうなんですよ。新婚ほやほや」


満面の笑みで切り返す。


「なっ……」