オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~


「へぇ」
「どして?」


小刻みにうなずきながらコーヒーを飲む一慶に聞き返す。


「いや、べつに。近況の確認」
「帰国してからハルくんに会ってないの?」
「会ってない」
「そか」


心なしか一慶の返答がぶっきらぼうに感じる。自分から晴臣の話題を振っておいたくせに、いったいなんなのだ。

帰国して二週間と言っていたが、その間に一度くらい会ってもよさそうなものだけれど。
もしも美紅が一慶と同じ立場だったら、真っ先に佐和子に会いにいきそうだ。姉妹とは違い、兄弟なんてそんなものなのだろうか。

まだ昇華しきれていない初恋を抱えたまま、本当に同居なんて大丈夫なのかと美紅は不安しかなかった。


「おじさんとおばさんには私と一緒に住むのは話したの?」
「一応はね。美紅の両親とは情報も筒抜けだから、黙っているほうに無理がある」
「たしかにそうだよね」


だけど一慶は二週間も前に帰国していたのに、両親はもちろん佐和子も教えてくれないなんて。
ただの幼馴染だから、そんなものなのかな。

結局、一慶と美紅はその程度の間柄なのだ。