目鼻立ちのはっきりとした顔にワンレンボブのヘアスタイルをした佐和子は、いかにもできる女風。五歳年下の二十七歳の美紅にとって憧れの存在だ。
というのも、美紅が佐和子とはすべてにおいて正反対のタイプだからである。

かわいいとは言われても決して綺麗ではない顔立ちは、昔から印象の薄いタイプ。癖のあるセミロングの髪はいくらドライヤーで真っすぐにしても、すぐにふわふわと遊びはじめるから性質が悪い。

おまけに姉の佐和子は身長が一七五センチあるのに、美紅は一六〇センチにも満たないときている。すらっとしたモデル並みの体型の佐和子の隣に立つと、まるで大人と子どものようなのだ。

小さいながらもセレクトショップを経営して仕事もバリバリにこなす姉のように、自分もいつかは……。
そんな期待に胸を膨らませていたが、夢は以前として夢のまま。遺伝子のいたずらに頭を抱えたくなる。


「美紅の作るご飯も、あと少ししたら食べられなくなるのかぁ。残念だな」


佐和子がさらっと放ったひと言に美紅の耳が反応する。

あと少しで食べられなくなるって、どういう意味?