ひらりと身を翻した一慶を呼び止める。


「いっくん、待って」


振り向いた一慶に唐突に「大好き」と告げた。

どうしても言いたかったのだ。
十数年分の想いを込めて、ありったけの愛を一慶に。

一慶は一瞬驚いたように目を見開いてから、ふっと笑う。もう一度美紅のもとまでやって来て、「俺も大好きだよ」と抱き寄せた。


「新婚初夜をたっぷり楽しもうな」


わざと意味深に囁き、一慶は今度こそ控室を出ていった。


END