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「美紅、これどう思う?」


佐和子にそう声を掛けられたのは、美紅が遅めのランチを奥の部屋でとっているときのことだった。隣に座る彼女が、美紅の前にスマートフォンを滑らせる。

そこに表示されていた画面を見て、美紅は言葉を詰まらせた。左端にはハンドメイトの通販サイトのロゴが踊り、中央に大きくピアスがある。美紅の作ったものだ。

いったいなにを言われるのだろうかと胸が張り詰める。


「……美紅? どうかした?」
「う、ううん。なんでもない。……どうって?」
「なかなかいいと思わない? このクリエイターさん、ほかにもいろいろアップしてるんだけど」


そう言いながら佐和子は、べつのアクセサリーを次々と表示させていく。

一慶に写真を撮りなおしてもらった後、美紅は彼のアドバイスで自分なりにテーマをつけて商品を分類し、サイトにアップしなおしていた。
それからの注文数の伸びは著しく、一慶の言っていた通りなのだ。
写真を一新し、分類をしただけで売れ行きが違うのだから。しかも値段設定を二割ほど上げているにもかかわらず。