自由に羽ばたくキミが

親貯金なんてつもりで言えば、照樹も笑いながら承諾。


「このあと御前の住むところも見に行くから、採寸して家具家電揃えて、ツアーが終わった頃には住み始めれるようにな」


「おっけー、んで明日からしばらく一人行動なら仕事着なんて要らなくない?」


「デニムとシャツしかないだろ」


「半袖半ズボンいたじゃん」


「ま、まぁ…けど女性社員見たろ?戦闘着、要らないか?」


「戦う気も無いけど」


その場に不釣り合いだと言うのならもう少しフォーマルな服を買うつもりではいたけど。


あの三人に張り合うためなら必要ないなんて。


それでも2泊か3泊か…くらいの着替えしかない咲名だから。


言われた通り全身を何日分か揃えて。


スーパーでしばらく分の食材を買い込んで、でも時間が遅いから、という理由で結局ラーメンで済まされた夕食。


ラーメンはちょっと…と言ってはいても久しぶりの日本のラーメン、美味しそうに平らげた咲名を満足気に見てた照樹。


「寮だけど、コンシェルジュが常駐してる。
車の出入りは簡単だけど、所属タレント以外の住人もいるから」


小ぶりな建物が3棟くらいあるマンション街、その1棟を事務所が借り上げている。


その3棟を囲うように敷地が仕切られて、門が構えられてる。
例えばLIBERAを現場からストーキングしても、そこに住んでる事が分かるだけで。


どの棟の何階に住んでるかまでは分からないし、企業向け専用の物件だから。


ファンがそのマンションに住もうと思っても、個人では借りられない。


車が出入りしてる所しか見られないし、歩いて敷地に出入りする場合だっていつどこを通って誰が出たかなんて、記者が張り込んだって掴めない。


デビューもしてない研修生を、こんなに厳重に守るなんて。


ちょっと結構ドン引きな咲名、そうまでしないと何かを掴まれる可能性があるってこと?なんて。


遊び人の集まりかのように、想像してしまう。


昔はもう少し簡易的な寮だったけれど、熱狂的なファンからの被害を重ねる度にそうせざるを得なくなったらしい。


遊び人扱いしてごめん、と心の中で謝る咲名。