自由に羽ばたくキミが

「バンくらいなら運転出来るんだけど、日本走るのは久しぶりだし車停めるとことかよくわかんないから」


アパレルショップの場所は分かるけど。
ショップの前に路駐でいいのか、コインパーキングに停めるのか。


その辺は宜しく、と自分の好きな繁華街へ向かった咲名。


ビクビクしながら助手席に乗った照樹だったけど、咲名のハンドルさばきを見てすぐにリラックス。


自分で言うだけあって危なっかしさは無かった。


「明日から一人って?私補佐なんだから常に同行はしなくていいの?」


「会議やら営業やら、補佐のいらない業務が続く。
車一台用意するから朝一緒に出勤だけして、悪いけど家具屋とか回れるとこ済ませてくれるか?」


住むところの住所も教えるから、家具家電はそこに送ってもらえって。


洗濯機と冷蔵庫、電子レンジ、エアコンは新品がもう備わってる。
あとは個人的に使うものを好きなだけ買えって社長から、と茶封筒が渡された。


それが現金なのがなんとなく分かったけど、遠慮なく受け取った咲名。
これは余っても返さなくていいだろうなんて、お金に困ってない咲名が素直に受け取ったのには理由がある。


年に一度、困らない程度にこうしてまとまった金額をわたされて。


これで1年やりくりしなさい、足りない場合は必要な時に別で、と言われているが、イギリスにいたので今年分は貰ってない。


成人を超えたいい大人、と言われる歳でお金を渡される事に抵抗はあるけれど、これは受け取るべきお金らしい。


子供の頃の貯金、お年玉やお小遣い、貯まりに貯まったそれらと、咲名名義の保険の満了金…よく分からないけどとにかく咲名のお金らしい。


子どもの頃から困ったことが無い咲名、臨時収入はみんな預けていたし、高校を出てからはバイトしたり。


言わずもがな、あのギャラだってある。


そしてこれからは給料だって支払われるんだから。


「もう要らない、これが最後って言っといて。
今はまだ外貨しか持ってないからこれは受け取るけど、まだ残ってるならそのまま預かっといてって」


「無駄遣いしないし、なんなら自分で稼いでたからな、伝えとくわ」