「向こうの方がお前にとっちゃ過ごしやすかっただろうなぁ」


「アジア系は若く見られるから年齢確認は必須だったけどね」


パブじゃ絶対されるけど、現地の人だって成人に見える人もされてたから、それはいい。


「ただ問題は親子に見えなかった事かな?親同伴なら16歳でもお酒は飲めたけど、本当に親子?って」


「親父譲りのほりの深さのお前でもか?」


「いやもう次元が違う、顔濃すぎ、あと見た目年齢が親と子の差開きすぎ」


「背丈や顔立ちでいやぁ母ちゃん負けてねーけど」


「濃いかどうかは別か」


カゴは照樹、あれは?これは?と要らないものまで物珍しさで勧める父親、こんな姿は社員には見せられない、三人それぞれ違う意味で。


重役を顎で使う新入社員と、言われる前からカゴを持ってしまう上司、要らねーよ大人しくしてって叱られるトップ。


どの視点から見てもツッコミどころ満載。


「あ、これ買うから定員呼んで」


鍵付きのケースに仕舞われてる包み。


「なんだこれ」


手巻きタバコ、こっちのが慣れてるって。


自分で葉を詰めてクルクルと、器具で丸めるだけのもの。


向こうの一箱の値段で日本では三箱買えるくらい高いタバコ、しかも店によって値段が変わるらしく。


日本も値上がりしててビックリ、とそんな所は庶民派かよと笑われるけど、空港で安く売られてるタバコをスルーしてきたのはしっかりと育ちが出てる。


荷物増えるじゃん、カートンなんかで買わないよって。
どこまでも手軽さ重視の咲名、お土産ならあるから後でねって。


翼も合流してから渡すからって、大きなリュックの半分はお土産だとドヤ顔。
自分の荷物を犠牲にしてお土産を買ってきた咲名に二人は見る前から顔がニヤける、可愛くて。


長期用のトランク一つ位は持ってくると思ってたから、リュック一つなのはほんとに。


いつでもまた、イギリスに戻れるようにじゃないかと不安ではあるんだけれど。


「住所教えて、荷物送ってもらいたいから」


の一言で、そんな不安も解消された。