自由に羽ばたくキミが

「私も色々と勉強しながらになるので、迷惑をかけるかもしれませんが。
よろしくお願いします、あとあまりお気遣いなく照樹さん同様気楽にお願いします」


「って言う補佐がもっと気楽にしてやー」


「はは、こいつ人見知りで口下手なくせに海外長いからYESやNOはハッキリしてて。
悪いけどまだ他グループには内密にしてて、俺の知り合いだとか新しいスタッフだとか」


うぃす、と軽い返事。
多分よくある事なんだろう、扱いの差をわざわざ自分達で示し合う必要もない。


「強い目してる、自分をしっかり持ってる感じ」


そんな晴人の一言に、うんうんと頷くのは両サイドの重役。


「あ、…睨んでるとかではなくて。
日本人ってあんまり人をジロジロ見るとこはしないんですけど」


「イギリスの人は目をしっかり見て話すよね、合うとニコってしてくれるし。行ったことあるから分かるよ」


あ、その通りです良かった説明省けたわ、お前やっぱり侮れないな高学歴、なんて感謝しつつ行ったことある程度でその国の人柄まで理解してるインテリにビビる咲名。


「イギリスって首都は?ロンドン…か」


「そう。連合国だから公用語は英語だけじゃなくて地方や国によって違うし、文化も色々、移民が多いところでもあるよ」


そこから少し、インテリによるイギリス講座が始まる。
メンバーがほぼ聞き入ってるという事はみんな知らないんだろう。


咲名もずっとロンドンとその近郊で過ごしたから、イングランド以外は行ったことがないし文化も分かってない。


けど、そんな時も晃はくしゃっと笑って馬鹿ばっか、と暖かい目でメンバーを見つめる。


その目が咲名に向けられた時、すっと鋭いものに変わるのは多分晃も人見知りなだけだが。


口調が砕けて色々会話に混ざる他のメンバーに比べて、晃はずっと聞いてるだけ、やんちゃそうな見た目と裏腹穏やかな人。


そうなると、人見知り対人見知りでどちらかが頑張らなければ打解けるのに時間がかかってしまうけれど。


晃の視線に若干ビビる咲名、まず自分から寄り添う事はないだろうし。