自由に羽ばたくキミが

「僕は現場にはあまり出向かないけど、メディア担当として業務してます、中田です。順番に紹介するけどいきなり名前は覚えれないと思うから、誰だっけと思ったら僕にこっそり聞いてくれてもいいからね」


だから僕の事は覚えて?と言ったあと、ざっくりその場にいた人達の名前と業務の紹介をしてくれた。


第三者に紹介される文化に触れてきたので、聞き手に回るのは慣れてる咲名だけど。


パーソナリティに平気で触れてくるのは慣れないなって、初対面で根掘り葉掘り聞かれることには抵抗があるから流れが変わって有難い。


一番嫌味が多くてキツそうな女はヘアメイクで主にメイク担当、その補佐でヘア担当の人の子分感がまたウザい、スタイリストの女の人はあんまりうるさくは無いけどこいつもしっかりと言いなり感が出てる。


中田の説明によれば、三人が三人とも実力者で腕前やセンスは確からしくて。


華やかさもだし、キャリアウーマンとしての自信やプライドもしっかり感じる、ただのぶりっ子ではなかったのは、理解した。


女の人は他にもいるけど、波風立てたくないのかどっちつかずか、若干メイク担当寄り。


ヘアメイク担当の佐藤、ヘア補助の榎本、スタイリストの三倉…関わりたくないリストに入れる為に名前は覚えた咲名。


あとは中田の言う通り覚えれないので中田だけ覚えて、照樹にだって聞けるし。


「ありがとう中田くん、咲名をよろしくな」


「了解です!」


「さて、業務に戻ってくれ。今日は現場は?」


もう夕方になる頃、社長が解散を伝え照樹に次の現場を聞く。


ヘアメイクもスタイリストも現場での仕事がない時は事務所で他の業務のサポートらしいけど。
ミーティングや企画にも立ち会うからそれなりに多忙ではあるらしい。


デビュー前に専属とは、メジャーな事務所は凄いわと。


アンダーグラウンドの、アマチュアで音楽に関わっていた咲名は他ごとを考えながら眠気と戦う。


飛行機で寝ればまだ良かったのに、つい映画に見入ってしまった。


寝たら寝たで夜になっても寝れないと困るけど。